所長挨拶
慶應義塾大学東アジア研究所所長
三尾 裕子
2021年10月1日より、東アジア研究所所長を拝命することになりました三尾裕子(みおゆうこ)です。文学部に所属しており、文化人類学的な視点から東アジアについて研究をしてまいりました。この度の所長就任にあたり、歴史のある本研究所の伝統を受け継ぎながら、新しい風もさわやかにそよぐような研究所にしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
本研究所は、これまで中国と朝鮮半島をめぐる政治学的・歴史学的研究において強みを発揮してまいりました。しかし、グローバル化が進行する現在、東アジア地域が抱える問題は、域内に留まるものではなく、同時に世界的な問題にもなっています。また、政治学的・歴史学的な研究課題も当然ながら、そのディシプリン内のみで解決できるものでもありません。例えば政治、経済的な研究は、社会、文化、軍事等、多様な領域と結びつけて考察することが必要です。気候変動問題やエネルギー問題等にいたっては、文科系の学問領域を拡張していくような取り組みも必要になってくるでしょう。こうした情勢の変化を踏まえ、本研究所の研究も、東アジアという核を堅持しながらも、地域やディシプリンの垣根を越えて、多様で複眼的な視点から展開していくことが重要だと考えます。慶應義塾大学は、多数の学部、研究所の研究者を抱え、また運営委員会もこれらの部局から選出された委員の先生方から構成されております。これまでの本研究所の研究の伝統を幹にしつつ、今後は、慶應義塾大学のメリットを生かして、学際的な研究がより機動的に展開できるようになることを目指したいと思います。
また、本研究所は、単なる学内組織ではなく、国内外の研究者に広く開かれた研究所であることも、大きな強みです。本研究所は、諸外国の研究機関との間に研究連携関係を樹立、維持してきています。特に、現代韓国研究センターや現代中国研究センターにおいては、頻繁に海外の研究者等をお招きして研究会やセミナー、公開シンポジウム等を行ってきています。また、共同研究も展開され、研究成果も陸続と出版されており、こうした研究成果や研究活動については、ホームページやニューズレターでも発信しています。今後も、この方向性を維持し、さらに発展させていくことにより、国内外の研究の活性化に寄与していきたいと考えております。
本研究所の活動にこれまでご尽力いただきました皆様にはこの場をお借りして深く御礼申し上げると同時に、今後も国内外の広範な研究者のご参加をいただいて、東アジアを中心とする研究を更に進展させ、質の高い研究成果を発信していきたいと考えております。どうぞ皆様のご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。