研究所紹介
東アジア研究所の概要
1984年4月、慶應義塾大学東アジア研究所の前身である地域研究センターが、石川忠雄塾長(当時)のリーダーシップの下、慶應義塾創立125年記念事業の一環として創設された(初代センター長、小田英郎法学部教授)。慶應義塾は戦後、世界のさまざまな地域や国家の特性や情勢を解明する地域研究の研究と教育に力を入れてきた。地域研究センターはそうした基礎を固め、さらに発展させるために設立された。同センターでは、世界の各地域または各国家について専門分野の異なる複数の研究者を集めた学際的共同研究を推進するとともに、日本国内および外国の関連研究機関や地域研究者との学術交流の輪を広げることに尽力した。
そして約20年にわたる地域研究センターの活動実績を踏まえ、その多くがアジア研究とりわけ東アジア研究に関わる内容であったという事実と、日本ならびに慶應義塾にとっての今後の世界における現実的重要性を考慮して、研究対象と活動の重点を明確化させる意味からも、2003年10月1日より、名称を東アジア研究所に変更した(初代所長、国分良成法学部教授)。なお本研究所は、基本的に前身としての地域研究センターの活動内容をすべて踏襲している。
現在東アジア研究所では、慶應義塾および日本内外の多くの組織や研究者とご理解とご支援により、常時以下のような研究活動を行っている。
- 高橋産業経済研究財団支援学術プロジェクト:
前身の地域研究センター草創期の1985年以来、財団法人高橋産業経済研究財団のご支援を頂戴し、2年間の学術プロジェクトを毎年2本立ち上げ、常時4本のプロジェクトを進めており、その成果は例外なく学術書として出版されている。 - 研究プロジェクト:
慶應義塾大学の研究者を中心とした、主に外部資金に基づく研究プロジェクトである。 - 東アジア研究所講座:
前身の地域研究センター時代に「地域研究講座」として開催されてきたものを、2003年に東アジア研究所への改組に伴い名称変更したものである。主に学生を対象とする講義形式の講座で、原則として隔年に開催し、専門家による一連の講演は単行本として出版されている。 - 東アジア研究フェローシップ:
ソウルの東アジア研究所(EAI)が主宰する「東アジアの平和・ガバナンス・開発に関するフェローズプログラム」を、高麗大学、北京大学、復旦大学、台湾大学とともに運営している。毎年5、6名の中堅からシニアのフェローが当研究所を訪れ、研究会や講演会を開催するとともに、研究交流を深めている。 - 日韓ミレニアムフォーラム(4大学学長会議):
慶應義塾大学、早稲田大学、延世大学、高麗大学が、毎年持ち回りで幹事校となり、各大学の塾長・総長・学長による全体会合と、経済、外交安保、文化社会に関する分科会が開催されており、慶應義塾大学では当研究所が企画の窓口となっている。 - 講演会・シンポジウム:
同時代的な重要テーマや、最新の研究動向を捉えるべく、内外の専門家を招聘して講演会やシンポジウムを適宜開催している。 - 研究会:
内外の専門家が来塾する機会を捉えて、学術的テーマをめぐる研究会を常時開催している。
さらには、共同研究の推進、および研究者・大学院生の交換等を目的として、南開大学日本研究センター(中国)、延世大学校統一研究院(韓国)、ジョージ・ワシントン大学シグールアジア研究センター(米国)、国立極東学院(フランス)等との間に、学術交流協定が締結されており、2007年秋には、復旦大学に当研究所の上海オフィスが設けられた。
こうして、東アジア研究所は地域研究における日本の拠点の一つとしての地位を築いてきたが、2007年には、このような従来の活動実績が評価され、人間文化研究機構の支援により、中国研究の拠点形成構想の一環として研究所内に現代中国研究センターが設置された。ここでは現代中国の政治と外交に関する3つの研究プロジェクトが設置され、当面5年間の予定で活発な研究活動が展開されている。
また、2009年2月には、主に韓国の国際交流財団のご支援により、同じく研究所内に現代韓国研究センターが置かれることとなった。日本国際交流基金からもプロジェクト支援をいただき、韓国の研究者も含めた多くの内外の専門家のご協力を得ながら、最先端の韓国・朝鮮半島研究が行われる予定である。
(2009年2月2日記)
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